「わかりやすく〈伝える〉技術」池上彰著、講談社現代新書
「相手に〈伝わる〉話し方─ぼくはこんなことを考えながら話してきた」池上彰著、講談社現代新書
の影響を受けたらしい。「接続詞は使うな!」
トーナメントを数学的に分析しよう。
ニシハラ氏のブログ(知らないなんて言わせない)によれば、ある大会の予選突破者は302名。そのうち81名、27%がキリコだったようだ。
302人トーナメントの計算は面倒。256人トーナメントに圧縮して考えるのが便利だ。256人の27%=69人がキリコ、残りがその他のデッキだということになる。
さて、キリコが優勝する確率はいくらか。多様なデッキを「キリコ」「その他」にざっくり二分して、それらの勝率を次のように仮定する。
勝\負 |
キリコ |
その他 |
キリコ |
1/2 |
2/3 |
その他 |
1/3 |
1/2 |
まず一回戦。キリコの人数をa=69,その他の人数をb=256-69=187とすると、256/2=128組中どの組をとっても「対戦カードのパターンとその確率」は下の通りになっている。
|
キリコ |
その他 |
キリコ |
a(a-1)/(256*255) |
ab/(256*255) |
その他 |
ba/(256*255) |
b(b-1)/(256*255) |
「キリコ×その他」
「その他×キリコ」
は区別できないので
「キリコ×キリコ」→a(a-1)/(256*255) [7%]
「キリコ×その他」→2ab/(256*255) [40%]
「その他×その他」→b(b-1)/(256*255) [53%]
が得られる。
したがって任意の組において「勝ち上がったデッキがキリコである確率」は【「キリコ×キリコになる確率」+「キリコ×その他になる確率」×「キリコ×その他でのキリコの勝率」】、すなわち
a(a-1)/(256*255) + 2ab/(256*255)*(2/3) [34%]
同様に「勝ち上がったデッキがその他である確率」は
b(b-1)/(256*255) + 2ab/(256*255)*(1/3) [66%]
これを「勝率」と呼ぶのには抵抗がある。そこでこれを「勝ち上がり率」と呼ぶことにしよう。
次に2回戦。全体の人数は128人。1回戦ではa,bは人数を表していたが、2回戦では人数の「期待値」となる。
1回戦のところで「キリコの勝ち上がり率」「その他の勝ち上がり率」が既に求まっている。これらに128をかけた「a=128*0.34=44」「b=128*0.66=84」が2回戦のキリコ/その他の「人数の期待値」になる。
この「人数の期待値」a,bに対して1回戦とまったく同じ操作をすれば良い。結果は次の通り。
a(a-1)/(128*127) + 2ab/(128*127)*(2/3) [42%]
b(b-1)/(128*127) + 2ab/(128*127)*(1/3) [58%]
ここまでの結果を並べてみると
キリコ:[27%]→[34%]→[42%]
その他:[73%]→[66%]→[58%]
となり、キリコの「勝ち上がり率」が1回戦、2回戦と繰り返していくにつれて増大していく──すなわち「自然淘汰」が確認できる。
3回戦以降も同様で、これを8回戦まで続ける。つまり「今回戦の全体の人数」×「前回戦の勝ち上がり率」=「参加する人数の期待値」を受け取って「勝ち上がる人数の期待値」を返す、という変換を計8回施す。
流石に計算が煩いのでExcel先生に任せてしまおう。
これが一次でーた。
何回戦? |
人数 |
0.26953125 |
0.73046875 |
1 |
256 |
0.335416667 |
0.664583333 |
2 |
128 |
0.410305847 |
0.589694153 |
3 |
64 |
0.492237685 |
0.507762315 |
4 |
32 |
0.578238458 |
0.421761542 |
5 |
16 |
0.6649509 |
0.3350491 |
6 |
8 |
0.749823739 |
0.250176261 |
7 |
4 |
0.833196227 |
0.166803773 |
8 |
2 |
0.925849743 |
0.074150257 |
「四捨五入」「パーセント表示」の二次でーた。
何回戦? |
人数 |
27% |
73% |
1 |
256 |
34% |
66% |
2 |
128 |
41% |
59% |
3 |
64 |
49% |
51% |
4 |
32 |
58% |
42% |
5 |
16 |
66% |
34% |
6 |
8 |
75% |
25% |
7 |
4 |
83% |
17% |
8 |
2 |
93% |
7% |
左から三番目は「キリコの勝ち上がり率」、左から四番目は「その他の勝ち上がり率」。
8回戦時の「キリコの勝ち上がり率」=優勝する確率は実に93%(!)
「他のデッキに67%勝てるデッキが全体の27%を占めていれば、256人トーナメントで それが優勝する確率は
9割を越える」
ということから「自然淘汰」の影響力の大きさが伺える。
もう少し遊んでみよう。
勝率を次のように変更する。
勝\負 |
キリコ |
その他 |
キリコ |
1/2 |
3/5 |
その他 |
2/5 |
1/2 |
するとこうなる。
何回戦? |
人数 |
27% |
73% |
1 |
256 |
31% |
69% |
2 |
128 |
35% |
65% |
3 |
64 |
40% |
60% |
4 |
32 |
45% |
55% |
5 |
16 |
50% |
50% |
6 |
8 |
56% |
44% |
7 |
4 |
62% |
38% |
8 |
2 |
72% |
28% |
キリコ側の勝率67%時のデータと並べてみよう。
勝率は67%→60%。念のため。
ここで両者を並べてみよう。
何回戦? |
人数 |
勝率67%(A)の勝上率 |
勝率60%(B)の勝上率 |
差(A-B) |
比(A/B) |
1 |
256 |
34% |
31% |
3% |
1.10 |
2 |
128 |
41% |
35% |
6% |
1.17 |
3 |
64 |
49% |
40% |
9% |
1.23 |
4 |
32 |
58% |
45% |
13% |
1.29 |
5 |
16 |
66% |
50% |
16% |
1.32 |
6 |
8 |
75% |
56% |
19% |
1.34 |
7 |
4 |
83% |
62% |
21% |
1.34 |
8 |
2 |
93% |
72% |
21% |
1.29 |
「勝率の小さな違い(7%)も「自然淘汰」を重ねることで優勝確率に大きな影響(21%)を及ぼすのだな!」
そうじゃない。よく見てみろ。「差(A-B)の増加率は減っている」。
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