忍者ブログ

はしりがき

ガラパゴスへよおこそ。

[PR]

×

[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。

シナジーはあったほうが良いか

カードにはポテンシャル(潜在能力)というのものがある。その量はカードごとに違うんだけど、大雑把に言ってポテンシャルの高いものほど、それを引き出すための──つまり実際の効果に変換するための──条件が厳しくなっている。我々が「シナジー」と呼んでいるところのものは、そのポテンシャルを引き出すことにあたる。ここまで話の前提。さて、シナジーがある=良いことのように思われているように見えるけれど、本当にそうでしょうか?
結論からいえばそうではない。つまりシナジーがあることは必ずしも良いことではない。

■シナジーとは何か
シナジーは「Aの効果がBのポテンシャルを引き出す」ことだと言ったが、「Bの効果がAのポテンシャルを引き出す」ことも考えうる。するとシナジーについて次の二類型が想定できる。:「一方通行シナジー」「相互依存シナジー」
一方通行シナジーは「Aの効果がBのポテンシャルを引き出す」だけ。「Bの効果がAのポテンシャルを引き出す」ことはない。分かりやすい例はマナブーストで、これは「重たいカード」のポテンシャルを引き出すカード。だが「重たいカード」がマナブーストのポテンシャルを引き出すことがあるかというとそんなことはない。マナはもう溜まってるし。これが一方通行シナジー。
相互依存シナジーは「Aの効果がBのポテンシャルを引き出す」「Bの効果がAのポテンシャルを引き出す」の両方が成り立つこと。《憤怒の猛将ダイダロス》《時空の守護者ジル・ワーカ》が好例。ダイダロスのアタックトリガーでジルワーカのタップ能力を引き出し、ジルワーカのタップ能力でダイダロスのパワーを活かすことができる。これが相互依存シナジー。
相互依存シナジーの弱点は「カードが揃わない」とき。つまり運が悪くて引き当てられないとか、ハンデスで墓地に落とされたとかそういう場合。ジルワーカがいないときのダイダロスはクリーチャーを殴りにくいし、ジルワーカ単体では能動的に動くことはできない。どちらかが欠けてしまうともう一方の効果が弱まってしまうというリスクがある。その点で一方通行シナジーは相互依存シナジーよりも安定している。「Aの効果がBのポテンシャルを引き出す」の記号に従えば、Aが欠けるとBの効果が弱まるが、Bが欠けてもAの効果はそのままだ。相互依存シナジーの場合よりはリスクが低い。

■各シナジーの特徴
そこから言えば、そもそもA,Bにシナジーがない場合のほうが安定している。ただしポテンシャルが高いものほど条件が厳しくなっているということは、条件の緩いものほどポテンシャルが低いということだ。ポテンシャルの引き出し率で言えばシナジーがない場合のほうが高いが、最終的な効果としてはシナジーのある場合のほうが強い。以上から、やはり大雑把ではあるが、次のような関係が見出せる。

  効果 リスク
相互依存シナジー
一方通行シナジー
シナジーなし

リスクというのは「シナジーが実現しない確率」と言い換えても良い。つまり手札が潤沢なほどリスクが弱まり、相互依存シナジーを取り入れ易くなる。反対に手札が少ないほどリスクが高まり、シナジーは取り入れづらくなる。
それとこっちの話を合体させる。
つまり、リンク先の用語に従えば、マナブースト型は焦点においてシナジーの実現確率が高まるので、これを取り入れ易い。反面、コントロール型はこれといって焦点がないため、ここでシナジーの実現確率が高まるというポイントがない。さらにハンデスを積むインセンティブがあるため、さらにシナジーを実現する確率が低くなる。
結論としては、マナブースト型はシナジーを採用しやすく(表の上のほうを取り入れ易い)、コントロール型はシナジーを採用しづらい(表の下のほうを取り入れ易い)、ということになる。実際の例を見てみよう。

■実例
マナブースト型でいえばマナブースト/重たいカードの構造自体がでかい一方通行シナジーなのだが、それに加えてビーストフォーク群《青銅の鎧》《2色5マナサイクル》《ふたつ牙》や《バジュラズソウル》《ボルベルグ》、《ロマネスク》《母なる大地、紋章》あたりが有名。「マナブースト型」の定義からいえばビートダウンあたりも入ってて、むしろこちらのほうが顕著なのだが、進化クリーチャーは一方通行シナジー(ドロー→小型クリーチャーの流れを作るマルコは進化元の小型クリーチャーと相互依存シナジーだけど)に他ならないし、緑単は《フェアリー・ギフト》使ってたり、ドリームメイトは《ホップステップ・バッタン》を軽く使いこなす。
反面、コントロール型はシナジーが少ない。昔の除去コントロールを思い出してほしいのだが、シナジーらしいシナジーはあんまり見当たらない。同じカードを何枚も積まずに、似た役割の別々のカードを少しずつ散らす除去コンの特徴はここから説明される。すなわちシナジーがあるならそのカードを何枚も積むはずなのだが、それがないから「全く同じカードを2枚手札に持っているより、少し違うものを持っていたほうが選択肢が広がるよね」という話になる。除去コンがマナブーストを積まない理由も実はここで、シナジーを作れないからこそ一方通行シナジーを形成するマナブーストを積む訳にはいかないのだ。

■帰結
つまりマナブースト型はシナジーを作れ、コントロール型はシナジーを作るな、これである。

■補足
除去コンでもインフェルノ・サファイアとかベリックスアウトはシナジーあるじゃん、という問いには基本原理から出発する必要がある。つまり「手札が少ない=シナジーが作りにくい」というのが上の話の前提だったわけだが、この場合のシナジーはカードを手札に保存していない。サファイアは墓地に、ロスチャはマナに、つまりほとんどアンタッチャブルな領域にカードを保存しているので、手札が少なさがシナジーの実現確率に影響していない、したがってこの種のシナジーは十分実現できるのだと説明できる。だから厳密には「シナジーの種類」から説明しなければならないのだが、ぶっちゃけそこまで話を膨らませられないので補足としてここに書いておくにとどめる。
PR

comment

お名前
タイトル
E-MAIL
URL
コメント
パスワード

trackback

この記事にトラックバックする:

TemplateDesign by KARMA7

忍者ブログ [PR]