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はしりがき

ガラパゴスへよおこそ。

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シナジーはあったほうが良いか

カードにはポテンシャル(潜在能力)というのものがある。その量はカードごとに違うんだけど、大雑把に言ってポテンシャルの高いものほど、それを引き出すための──つまり実際の効果に変換するための──条件が厳しくなっている。我々が「シナジー」と呼んでいるところのものは、そのポテンシャルを引き出すことにあたる。ここまで話の前提。さて、シナジーがある=良いことのように思われているように見えるけれど、本当にそうでしょうか?
結論からいえばそうではない。つまりシナジーがあることは必ずしも良いことではない。

■シナジーとは何か
シナジーは「Aの効果がBのポテンシャルを引き出す」ことだと言ったが、「Bの効果がAのポテンシャルを引き出す」ことも考えうる。するとシナジーについて次の二類型が想定できる。:「一方通行シナジー」「相互依存シナジー」
一方通行シナジーは「Aの効果がBのポテンシャルを引き出す」だけ。「Bの効果がAのポテンシャルを引き出す」ことはない。分かりやすい例はマナブーストで、これは「重たいカード」のポテンシャルを引き出すカード。だが「重たいカード」がマナブーストのポテンシャルを引き出すことがあるかというとそんなことはない。マナはもう溜まってるし。これが一方通行シナジー。
相互依存シナジーは「Aの効果がBのポテンシャルを引き出す」「Bの効果がAのポテンシャルを引き出す」の両方が成り立つこと。《憤怒の猛将ダイダロス》《時空の守護者ジル・ワーカ》が好例。ダイダロスのアタックトリガーでジルワーカのタップ能力を引き出し、ジルワーカのタップ能力でダイダロスのパワーを活かすことができる。これが相互依存シナジー。
相互依存シナジーの弱点は「カードが揃わない」とき。つまり運が悪くて引き当てられないとか、ハンデスで墓地に落とされたとかそういう場合。ジルワーカがいないときのダイダロスはクリーチャーを殴りにくいし、ジルワーカ単体では能動的に動くことはできない。どちらかが欠けてしまうともう一方の効果が弱まってしまうというリスクがある。その点で一方通行シナジーは相互依存シナジーよりも安定している。「Aの効果がBのポテンシャルを引き出す」の記号に従えば、Aが欠けるとBの効果が弱まるが、Bが欠けてもAの効果はそのままだ。相互依存シナジーの場合よりはリスクが低い。

■各シナジーの特徴
そこから言えば、そもそもA,Bにシナジーがない場合のほうが安定している。ただしポテンシャルが高いものほど条件が厳しくなっているということは、条件の緩いものほどポテンシャルが低いということだ。ポテンシャルの引き出し率で言えばシナジーがない場合のほうが高いが、最終的な効果としてはシナジーのある場合のほうが強い。以上から、やはり大雑把ではあるが、次のような関係が見出せる。

  効果 リスク
相互依存シナジー
一方通行シナジー
シナジーなし

リスクというのは「シナジーが実現しない確率」と言い換えても良い。つまり手札が潤沢なほどリスクが弱まり、相互依存シナジーを取り入れ易くなる。反対に手札が少ないほどリスクが高まり、シナジーは取り入れづらくなる。
それとこっちの話を合体させる。
つまり、リンク先の用語に従えば、マナブースト型は焦点においてシナジーの実現確率が高まるので、これを取り入れ易い。反面、コントロール型はこれといって焦点がないため、ここでシナジーの実現確率が高まるというポイントがない。さらにハンデスを積むインセンティブがあるため、さらにシナジーを実現する確率が低くなる。
結論としては、マナブースト型はシナジーを採用しやすく(表の上のほうを取り入れ易い)、コントロール型はシナジーを採用しづらい(表の下のほうを取り入れ易い)、ということになる。実際の例を見てみよう。

■実例
マナブースト型でいえばマナブースト/重たいカードの構造自体がでかい一方通行シナジーなのだが、それに加えてビーストフォーク群《青銅の鎧》《2色5マナサイクル》《ふたつ牙》や《バジュラズソウル》《ボルベルグ》、《ロマネスク》《母なる大地、紋章》あたりが有名。「マナブースト型」の定義からいえばビートダウンあたりも入ってて、むしろこちらのほうが顕著なのだが、進化クリーチャーは一方通行シナジー(ドロー→小型クリーチャーの流れを作るマルコは進化元の小型クリーチャーと相互依存シナジーだけど)に他ならないし、緑単は《フェアリー・ギフト》使ってたり、ドリームメイトは《ホップステップ・バッタン》を軽く使いこなす。
反面、コントロール型はシナジーが少ない。昔の除去コントロールを思い出してほしいのだが、シナジーらしいシナジーはあんまり見当たらない。同じカードを何枚も積まずに、似た役割の別々のカードを少しずつ散らす除去コンの特徴はここから説明される。すなわちシナジーがあるならそのカードを何枚も積むはずなのだが、それがないから「全く同じカードを2枚手札に持っているより、少し違うものを持っていたほうが選択肢が広がるよね」という話になる。除去コンがマナブーストを積まない理由も実はここで、シナジーを作れないからこそ一方通行シナジーを形成するマナブーストを積む訳にはいかないのだ。

■帰結
つまりマナブースト型はシナジーを作れ、コントロール型はシナジーを作るな、これである。

■補足
除去コンでもインフェルノ・サファイアとかベリックスアウトはシナジーあるじゃん、という問いには基本原理から出発する必要がある。つまり「手札が少ない=シナジーが作りにくい」というのが上の話の前提だったわけだが、この場合のシナジーはカードを手札に保存していない。サファイアは墓地に、ロスチャはマナに、つまりほとんどアンタッチャブルな領域にカードを保存しているので、手札が少なさがシナジーの実現確率に影響していない、したがってこの種のシナジーは十分実現できるのだと説明できる。だから厳密には「シナジーの種類」から説明しなければならないのだが、ぶっちゃけそこまで話を膨らませられないので補足としてここに書いておくにとどめる。
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>>起源神
いまどき要素還元主義?頭の古さが知れるなー(暴言)
>>六体神、紫電、ルシファー、ロマノフ
新カード・新デッキに目が行くのは当然なんだけど、それ以上に自分が好きな種族・デッキが思わぬカードで強化されないかな、という願望もあると思うんだよね。そういう気持ちを汲んで、目新しいカードを出す一方で、古いカードをちょっとだけ掘り起こす。この二重性がDMのやり方、カードプールをリセットできないことを逆手にとった戦略だと思うんだけど、その点で「一、二編前のものを引っ張る」という手法は退屈に過ぎると思った。ゴッドだのロマノフだのいい加減見飽きたのですよ。古すぎると絶版になってる?絶版のカードをなんとか見つけ出す交渉の過程で人間関係が、すなわちTCGの本質が構築されるんじゃねーの?何が言いたいかというとはやくサバイバー発掘しろいや発掘してください
>>思ったこと
小さい頃からAが好きで、将来の夢はAの作り手、というのはよくある話だと思う。Aにはアニメとかゲームとか漫画とか小説とか映画とかが入る。こういうタイプに典型的なのはA以外には無関心であるということと、それゆえに知識の幅が狭く思想も浅薄であるということ。具体的には、アニメが好きなだけで小説とか映画とか全く見てないから引き出しナッシングみたいな人がAの業界を目指すパターン。この人がAに出会って職業を決めるまでを20年とみると、Aの黎明期から20年後にからこういう人材が流れてくることになるか。
・・・世界初のTCG、Magic:The Gatheringのスタートは1993年。Aにカードゲームが入る日はそう遠くなさそうだな。堕落、という言葉は懐古厨臭いけど、変質の兆しが見えてくる頃かな、と思った。

トーナメントの確率論(4)

まず前回までの内容を一般化しよう。
p = 全体の人数
a = デッキAの人数
b = デッキBの人数
w = デッキAのデッキBに対する勝率
とすると、勝ち上がったデッキがAである確率(デッキAの勝ち上がり率)は
a(a-1)/(p(p-1)) + 2abw/(p(p-1))
となる。ここまではいいはず。
「優勝確率」に焦点を当てて、この式をいじってみよう。
まずpは定数ではない。1回戦ごとに半分になっていくからだ。そこでp0を「最初の人数」、pk(k>0)を「k回戦での全体の人数」とすると
pk = p0/2k -1
が成り立つ。したがってk回戦でのデッキAの勝ち上がり率は
a(a-1)/(pk(pk-1))2abw/(pk(pk-1))
これに「k+1回戦での全体の人数」をかけたものが「k+1回戦でのデッキAの人数の期待値」となって
{a(a-1)/(pk(pk-1))2abw/(pk(pk-1))} pk+1
となる。これがk+1回戦での「a」に該当する。さらにa+b=pk、pk+1/pk=1/2を考慮して整理すると
{a(a-1) + 2a(pk-a)w } /2(pk-1)
={(1-2w)a2(2wpk-1)a } /2(pk-1)
つまり独立変数p0,w,aに対して「k+1回戦でのデッキAの人数の期待値」は上のように書けるということだ。これをfkとおく。すなわち
fk = fk(p0,w,a) = {(1-2w)a2(2wpk-1)a } /2(pk-1)
とすると、f1(p0,w,a)をf2のaに代入、その結果をf3のaに代入・・・という操作を「p0/2n = 1を満たすn」=「n = log2p0」まで繰り返せば良い。
つまり優勝確率Fは
F(p0,w,a) = fn(p0,w,fn-1(p0,w,fn-2(p0,w,...f2(p0,w,f1(p0,w,a))...)))
ただしfk(p0,w,a) = {(1-2w)a2(2wpk-1)a } /2(pk-1) (1≤k≤n)
pk = p0/2k-1
と書ける。
さて、これで3つの独立変数p0,w,aに対する優勝確率を手に入れたわけだが、これで終わりではない。
数式は真理を提示するだけで、その意味は人間によって与えられる。可視化、つまり「グラフ化」が必要だ。
しかし人間に把握できるのは3次元空間まで、したがって2変数までのグラフしかかくことができない。それに対して独立変数は3つ。
そこでp0を固定してa,wについての2変数関数のグラフをかくことにしよう。そしていくつかのp0について、それぞれグラフをかくことで3変数関数のグラフに代えることとしたい。
16人トーナメント
人数比偏微分値

勝率偏微分値


256人トーナメント

人数比偏微分値

勝率偏微分値


4096人トーナメント

人数比偏微分値

勝率偏微分値


ちっちゃすぎわらた
これで20KBちょいあるはずなんだけど上限が約50KBとかなんなの。改善方法が見つかったら本気出す

16〜4096人トーナメントグラフは右側軸がデッキAの人数比、左側軸が勝率。上に優勝確率をとっている。
端のほうで値がマイナスになったり1を越えたりしてるけどまあ大丈夫でしょう。
人数比偏微分値はF(p0,w,a+0.05)-F(p0,w,a)を0.05で割ったもの。縦軸が人数比(の区間)、横軸が勝率(右端が0.05)。偏微分値が大きいほど「優勝確率に対する人数比の重要度」が高いことになる。16人〜4096人を通して勝率が五分のとき偏微分値が大きくなる傾向が共通しており、人数が増えるほど「勝率が五分」とみなせる区間が狭くなっていく=自然淘汰の影響により最初の人数比が覆される。
勝率偏微分値はF(p0,w+0.05,a)-F(p0,w,a)を0.05で割ったもの。縦軸が勝率比(の区間)、横軸が人数比(左端が0.05)。偏微分値が大きいほど「優勝確率に対する勝率比の重要度」が高いことになる。16人〜4096人でかなり様子が違っている。4096人でのピークは勝率5割前後でほぼ一定。一方16人では人数比が少ないほど勝率の重要性が高まり、人数比が多いほど勝率の重要性が低くなる。人数比3割に対して勝率6割がピーク、人数比7割に対して勝率4割がピーク、ってところ。
あまり目を引くような結論ではないけど、そんなもんです。暇があれば三竦みバージョンもやるかもしんない。それ以前に画像をなんとかしろという話か。

トーナメントの確率論(3)

つづき。
「勝率50%」「勝率55%」では

何回戦? 人数 勝率55%(A) 勝率50%(B) 差(A-B) 比(A/B)
1 65536 29% 27% 2% 1.07
2 32768 31% 27% 4% 1.15
3 16384 33% 27% 6% 1.23
4 8192 35% 27% 8% 1.31
5 4096 38% 27% 11% 1.40
6 2048 40% 27% 13% 1.48
7 1024 42% 27% 15% 1.57
8 512 45% 27% 18% 1.66
9 256 47% 27% 20% 1.75
10 128 50% 27% 23% 1.85
11 64 52% 27% 25% 1.94
12 32 55% 27% 28% 2.04
13 16 58% 27% 31% 2.14
14 8 60% 27% 33% 2.24
15 4 64% 27% 37% 2.36
16 2 68% 27% 41% 2.53

sa50-55.png






こんな感じ。「自然淘汰」が弱くなるため、勝ち上がり率の伸びしろがなくならない=ピークが遅くなる。

多様なデッキを「A」「B」に二分したモデルで考えると「全体の人数」【「圧倒的に強いデッキ」か「そこそこのデッキ」か】によって勝率差から優勝確率差への貢献度が変わるという話でした。
次回はより解析的な手法で調べる予定。今回はここまで。

トーナメントの確率論(2)

前回のつづき。まずは前回より人数を増やした65536人トーナメントの表。

何回戦? 人数 勝率67%(A) 勝率60%(B) 差(A-B) 比(A/B)
1 65536 34% 31% 3% 1.08
2 32768 41% 35% 6% 1.16
3 16384 49% 40% 9% 1.23
4 8192 57% 45% 13% 1.29
5 4096 65% 49% 16% 1.32
6 2048 73% 54% 19% 1.34
7 1024 80% 59% 20% 1.34
8 512 85% 64% 21% 1.32
9 256 89% 69% 20% 1.30
10 128 92% 73% 19% 1.26
11 64 95% 77% 18% 1.23
12 32 97% 81% 16% 1.19
13 16 98% 84% 14% 1.16
14 8 99% 87% 11% 1.13
15 4 99% 90% 9% 1.10
16 2 100% 94% 6% 1.06

「 勝率60%と勝率67%の差による勝ち上がり率への影響差 」(右から二番目のやつ)は、8回戦頃をピークにして最終的には下がっていく。グラフにするとこんなかんじ。

差(A-B)のグラフ






つまり「勝率60%と勝率67%の差による勝ち上がり率への影響差」(以後、単に「影響差」。要するに差(A-B)のこと)は「ある地点」までは増大するのだが、そこを過ぎると減少していく。8回戦までの表ではピークより手前側しか見えていなかったわけだ。
そう。 「8回戦までの表ではピークより手前側しか見えていなかった」 。ここ大事。
「「自然淘汰」の回数が増えるほど「影響差」が大きくなる」一方で「ある程度「自然淘汰」が進むと勝ち上がり率の伸びしろが少なくなってくる」のだ(デッ キAの10回戦以降の勝ち上がり率を見てみよう。Aの数字が伸び悩んでいるうちに伸びしろの残っているBが追いついてくる形)。その重ね合わせが上のグラ フのような形で現れる。それをグラフの山のところで打ち止めれば「勝率の小さな違いも「自然淘汰」を重ねることで優勝確率に大きな影響を与える」と言える のだが、山を過ぎたところで打ち止めれば「たいして変わらないじゃん」となってしまう。
このピークの位置は勝率によって変わる。「勝率80%」「勝率85%」では

何回戦? 人数 勝率85%(A) 勝率80%(B) 差(A-B) 比(A/B)
1 65536 41% 39% 2% 1.05
2 32768 58% 53% 5% 1.09
3 16384 75% 68% 7% 1.10
4 8192 88% 81% 7% 1.09
5 4096 95% 90% 5% 1.06
6 2048 98% 96% 3% 1.03
7 1024 100% 98% 1% 1.01
8 512 100% 99% 1% 1.01
9 256 100% 100% 0% 1.00
10 128 100% 100% 0% 1.00
11 64 100% 100% 0% 1.00
12 32 100% 100% 0% 1.00
13 16 100% 100% 0% 1.00
14 8 100% 100% 0% 1.00
15 4 100% 100% 0% 1.00
16 2 100% 100% 0% 1.00

sa80-85.png






こんな感じ。「自然淘汰」が強化されるため、勝ち上がり率の伸びしろがすぐになくなる  =ピークが早く訪れる。
byte数制限が酷いので続きは次回。

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